所有者不明土地を解決するための民法・不動産登記法等の改正案が令和3年3月5日閣議決定されました。
この法改正は大きく3つの制度を骨子とするものです。
① 相続登記・住所変更登記の義務化
② 管理困難な相続土地を国庫に帰属させて管理放棄地をなくす
③ 他の共有者が不明な共有地の管理や利用を促進させる
相続登記・住所変更登記の義務化
相続開始を知り、かつ所有権を取得したことを知った日から3年以内に「法定相続持分による相続登記」をしなければならない。
怠った場合は10万円以下の過料が課せられます。
諸事情で法定相続登記が3年以内に行えない場合は、新制度「相続人である旨の申出」が規定されています。
これを相続開始から3年以内に行えば登記義務を履行したことになります。
具体的には①相続が開始した旨②自分が相続人である旨を登記官に申し出ることにより職権でその登記がなされます。
ただし、申し出た者に限り義務の履行が認めらますので複数の相続人がいる場合は注意が必要です。
遺産分割協議がある場合
例) 妻と子1名が相続人で、妻が全部を取得する場合
相続開始から3年以内に分割協議が成立し、登記が期限までに可能な場合には相続登記を申請すれば問題ありません。
しかし、分割協議が難航するなど、相続開始から3年を超える場合には、その期限までに
① 法定相続持分登記を行う
② 法定相続人全員が相続を開始した旨の申出を行う。
以上のいずれかを行います。その後、分割協議成立の日から3年以内に分割協議による登記をしなければなりません。
この時の登記内容は、次のいずれかになります。
① 法定相続持分登記の場合 子の2分の1の共有持ち分を妻に移転する登記を行う。
② 相続が開始した旨の申出の場合 妻が単独の相続登記を行う。